持続可能な企業評価の国際基準

エシカル認定の制度化へ向けて

企業の不祥事が相次ぐ中、企業の評価尺度に財務データなど従来からの数値データと並べて、E ( 環境 ) 、S ( 社会的責任 ) 、G ( ガバナンス / 情報の透明性 ) への配慮を重視、反映する企業が増えている。証券取引所でも「持続可能な発展」への取り組みを企業評価に採用するため、持続可能性指標を開発、活用しつつある。

2010年11月に発効した社会的責任 ( SR: Social Responsibility ) の国際規格 / ISO26,000シリーズの実用化研究も経済団体をはじめ、個別企業の間で進んでいる。SRI ( 社会責任投資 ) は、欧米を中心に「投資が世界を変え、地球を救う」をキャッチコピーに急成長している。特に、ここへきて低炭素で、資産効率が高く、より多くの雇用を生み出すグリーン経済の持続可能な発展へ向けて、勢いづいている。日本への波及効果を期待したい。

2012年6月開催の「リオ+20 ( 国連持続可能な開発会議 ) 」では、主要テーマであるグリーン経済の実現の重要性を確認した。具体的な道筋を示し得ないまま、閉幕した点は残念であったが、それでも議長国ブラジルの苦渋の提案で6章283項目に及ぶ成果文書「我々が望む未来」をまとめ上げて、各国の事務レベルで基本合意に漕ぎつけた点は収穫であった。

環境保全をめぐる国際政治の最大の争点はいよいよCBDR ( Common But Differentiated Responsibility : 共通だが、差異ある責任 ) と環境コストの負担をめぐる攻防に移ってきている。中国の温家宝首相は中国を「大きな途上国」との言い回しで、新興国への応分の責任と負担を牽制したが、地球社会を挙げてのグリーン経済を推進していく上で、CBDRを鬼門にしてはならない。すべての国々が「エシカルステイツ」としての品位と名誉と威信を賭けて、競い合えるようなエシカル認定の制度化とその国際的な運用を急ぐ必要がある。

それには、国連のコフィ・アナン前事務総長が提唱したGSR ( Global Social Responsibility: 地球的社会責任 ) 基準のグローバルコンパクト ( 地球社会への誓約 ) をモデルに、その特徴の1つである自己申告によるセルフチェック制を参考にしてはいかがか。共生文明社会の構築とその実現には、客観、他律に頼る利己よりもエシカルマインドの主観、自律による利他の心と精神が何よりも求められているからである。

出典:「エシカルライフのすすめ おわりに - エシカル認定の制度化へ向けて -」 (『未来を拓くエシカル購入』2012年12月、環境新聞社 ) の冒頭からの引用。

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嶋矢志郎