持続可能な発展へ / 普遍価値を求めて

地球環境の可能性と限界

世界自然保護基金 ( WWF ) が隔年でまとめている「生きている地球レポート ( LPR: Living Planet Report ) は、地球環境が生態系サービスをはじめ、自然資源などを生産し、再生する供給力と私たち人間がその天与の恵みを消費する需給ギャップから、地球社会の将来に亘る持続可能な発展性の可能性とともに、その限界を暗示している。

最新の同「レポート2012」によると、LPI ( Living Planet Index:生きている地球指数 ) は1970年から2008年に亘る38年間で28%、なかでも熱帯地域では61%も、それぞれ減少、低下している。地球環境が生産し、再生する供給力が劣化して、回復力が弱ってきている証拠である。人間の営みによる需要が一貫して供給力を上回り、過剰消費の傾向を強めているからである。

この過剰傾向を地球の個数倍で示したEFP ( Ecological Foot-print:地球への負荷の足跡 ) は、1966年以降の40年余の間にほぼ倍増して、地球の1.5個倍に達している。これは、私たち人間が1年間で消費する生態系サービスや自然資源を地球環境が生産し、再生するのに1年間では賄い切れず、1.5年も要することを意味している。EFPが供給力を上回るEOS ( Ecological Over-shoot:過剰消費/過剰負荷 ) が慢性化して、利子だけでは暮らせず、元本を食い潰していることを如実に示している。

しかし、EFPが地球の1.5個倍で、EOSが同0.5個分とはあくまでも地球上の総人口70億人の平均値であって、国別の消費水準でみると、その落差は大きい。総人口70億人全員がインドネシア並みであれば、EFPは同3分の2個倍で済むが、アルゼンチン並みで同1.5個倍、日本並みで同2.5個倍となる。これが、米国並みとなれば、同4.5個倍で、EOSは同3.5個分となり、地球は間違いなく沈没する。

このように、高所得国のEFPが中・低所得国のそれに比べて膨大なのは、高所得国が中・低所得国からの生態系サービスや自然資源の輸入を中長期に亘って継続することができたからで、これが熱帯地域のLPIを60%も減少、低下させて、環境破壊を加速させている主因でもある。

同レポートでは、「すべての人間活動は究極的には地球環境の生態系サービスや自然資源に依存しているものの、環境破壊の影響は先ず直接的に世界の貧困層に降りかかってくる。土地、浄水、十分な食糧と資材へのアクセスなくして、脆弱な人々は貧困の罠から抜け出して、繁栄を手にすることはできない」と、警告しつつ、「経済、ビジネスモデル、ライフスタイルの中心に自然界への配慮を位置づけ」「より少ない資源でより多くを生産、再生し、より少なく消費する」など、より賢い選択を実践していけば、「この ( EOSの慢性化 ) 傾向を覆すことはまだ可能である」と強調し、「たった1つの地球の70億人」一人ひとりのエシカルマインドに期待を寄せている。

出典:「エシカルライフのすすめ 3.地球環境の可能性と限界」 (『未来を拓くエシカル購入』2012年12月、環境新聞社 ) の冒頭からの引用。

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嶋矢志郎